ディビジョン3を待つ中、Ubisoftが生成AIを全社展開へ 開発加速につながるのか

ディビジョン3を待つ中、Ubisoftが生成AIを全社展開へ 開発加速につながるのか
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「ディビジョン3」の続報は、まだ多くありません。前回の記事では、Ubisoftの組織再編やMassive Entertainmentを取り巻く状況、開発スタッフの募集などを確認しながら、表からは見えにくい部分でもプロジェクトが動いていることを追いました。

その後、今度はゲームそのものではなく、Ubisoftの開発体制に関わる新しい動きが出ています。

ゲーム業界のニュースやリーク情報を扱う海外メディアのInsider Gamingによると、Ubisoftは「Motherbrain」と呼ばれる生成AI関連の組織を、全社規模で展開していく方針だとされています。特定のスタジオだけで使う仕組みではなく、Ubisoft全体のゲーム開発を支えるための共通基盤として広げていく考えのようです。

現時点で、ディビジョン3にMotherbrainの技術が採用されているという情報は確認できません。ただ、Ubisoftが組織の再編だけでなく、今後のゲーム開発を支える技術面にも手を入れ始めていることは見えてきます。

目次

Ubisoftの「Motherbrain」とは何なのか

Motherbrainという名前だけを見ると少し分かりにくいのですが、Insider Gamingが報じた内容を簡単にすると、Ubisoft内で進められてきた生成AIの研究や開発を、より広い範囲で活用するための組織です。今後、できるだけ多くのUbisoft作品で利用することを目指しており、ゲームプレイの新しい仕組みを支援するためのAI技術や、各スタジオで共有できるシステムの開発を進めていくとされています。

これが実際に機能すれば、ある開発チームで研究された技術を、別のスタジオでも利用しやすくなります。同じような仕組みを各チームが一から作る必要が減れば、試作や研究にかかる負担を軽くできる可能性もあります。もちろん、AIがゲームを自動で完成させるような話ではありません。むしろ、開発者が使える技術や仕組みを全社で共有しやすくする取り組みと考える方が分かりやすいでしょう。

Motherbrainを率いるXavier Manzanares氏は、Ubisoftに23年間在籍し、近年は同社の生成AI関連の研究開発に携わってきた人物です。今回の全社展開も、突然始まった新しい試みというより、Ubisoftがこれまで続けてきた研究をさらに広げる動きと見ることができます。

Ubisoftは以前から生成AIを研究していた

Ubisoftが生成AIをゲーム開発に取り入れようとする動きは、今回が初めてではありません。

2024年には「Neo NPC」と呼ばれる研究を公開し、生成AIを使って、プレイヤーとの会話に応じて反応するNPCの可能性を検証していました。さらに2025年には、生成AIを使ったプレイ可能な研究プロジェクト「Teammates」を発表しています。

Teammatesでは、プレイヤーが声で指示を出すと、ゲーム内の仲間やAIシステムがその内容を理解し、状況に応じて反応する仕組みが試されました。決められた選択肢の中から会話を選ぶのではなく、自然な言葉で指示を出し、それに合わせてゲーム側が動くことを目指した実験です。

Ubisoftはこの研究について、生成AIで人間のクリエイターを置き換えることが目的ではなく、新しいゲーム体験を作るために、人間の創造性とAIの特性をどう組み合わせられるかを探っていると説明しています。

こうした研究を数年続けたうえで、今度はMotherbrainを全社規模の組織として展開しようとしているわけです。実験段階の技術をすぐ製品版へ投入するという話ではありませんが、Ubisoftが生成AIを一時的な流行としてではなく、今後のゲーム開発に関わる技術のひとつとして研究していることは分かります。

組織再編と同時に進む開発体制の見直し

Motherbrainの動きを見るうえで外せないのが、現在Ubisoftで進んでいる組織再編です。

Ubisoftは2026年、ゲームの方向性やブランドごとに開発組織をまとめる「Creative House」体制へ移行しました。その中でThe Division、Ghost Recon、Splinter Cellなどを担当するのがCreative House 2です。

さらに2026年9月30日には、Creative House 2に属する開発チームが「Massive Entertainment」の共通ブランドで活動していくことも発表されています。スウェーデンだけでなく、モントリオール、パリ、トロントの各チームもMassive Entertainmentの名前で連携し、The Divisionを含む複数のシリーズを担当する体制へ変わりました。

一方で、Insider GamingはUbisoftが現在も追加のコスト削減を進めていると報じています。経営面では厳しい状況が続く中で、組織をまとめながら、技術も共有しやすい形へ変えていこうとしていることになります。

ここは今回の記事で一番気になる部分です。

Ubisoftは規模を縮小するだけではなく、その後もゲームを作り続けるために、開発体制そのものを組み直そうとしています。Massive Entertainmentへの統合とMotherbrainの全社展開は別の動きですが、どちらも複数のチームが持つ技術やノウハウを、これまでより共有しやすくする方向へ進んでいる点では共通しています。

ディビジョン3の開発は早くなるのか

では、今回のMotherbrainによって、ディビジョン3の開発が早くなるのでしょうか。

Insider Gamingの記事では、Motherbrainをできるだけ多くのUbisoft作品へ展開する方針が伝えられていますが、ディビジョン3が具体的な採用作品として挙げられているわけではありません。Motherbrainの技術がすでにディビジョン3で使われているかどうかも、確認できる情報はありません。

ただ、今後Massive Entertainmentがその技術を利用する可能性まで否定する必要はないでしょう。

Motherbrainが本当に全社共通の基盤として機能していくのであれば、試作やゲームプレイの研究など、一部の開発工程でMassive Entertainmentがその技術を利用することは十分考えられます。各スタジオが同じ研究を一から繰り返す必要が減れば、結果として開発を進めやすくなる部分が出てくるかもしれません。

一方で、ディビジョンのような大規模なオンラインゲームは、生成AIを導入するだけで簡単に完成するものでもありません。マップやゲームシステム、グラフィック、サウンド、ネットワーク、サーバー、バランス調整、動作確認など、完成までには多くの工程があります。

そのため、「Motherbrainによってディビジョン3の発売が早まる」と期待するのは、まだ少し早いでしょう。

それでも、Ubisoftが開発を支える新しい仕組みを整えようとしていること自体は、ディビジョン3を待つ側から見ても悪い材料ではありません。これが少しでも開発を進めやすくする方向につながってほしい、という期待は持ちたくなります。

ディビジョン3の続報がない間にも、開発環境は変わっている

今回も、ディビジョン3の発売日やゲーム映像が発表されたわけではありません。そのため、直接的な続報という意味では、まだ待つ時間が続きそうです。

ただ、前回の記事から現在までの流れを見ると、ディビジョン3を取り巻く環境は確実に変わっています。

The Divisionを担当する組織はCreative House 2へまとめられ、その後、複数地域の開発チームがMassive Entertainmentという共通ブランドのもとで連携する体制になりました。そして今度は、Ubisoft全体で利用することを想定した生成AI関連の組織まで広げようとしています。

こうした動きを一つずつ見ると、ディビジョン3そのものの新情報ではありません。ただ、Ubisoftが何もせずに状況を眺めているわけではないことは分かります。

経営環境が厳しい中でも、組織を作り直し、新しい技術を研究し、複数の開発チームが動きやすい形を整えようとしている。Motherbrainがその取り組みの中でどこまで効果を発揮するのかは、これから見ていく必要があります。

大きな続報を待ちながら、こうした裏側の変化も追っていきたいところです。

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コルニック
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コルニック

ミコトホド運営者。PC関連が好きで、気になったパーツや話題を調べるのが好きです。「こんなのがあったら便利」と思ったときは、自分で使うためにツールやアプリを作ることもあります。ゲームも好きで、最近はPCゲームを中心に遊んでいます。



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