ゲーミングPCについて調べていると、「ボトルネック」という言葉を見かけることがあります。
「このCPUではGPUの性能を引き出せない」「この組み合わせはボトルネックになる」と説明されると、選んではいけない構成のように感じるかもしれません。
しかし、ボトルネックは故障や相性問題を意味する言葉ではありません。また、一度発生したら常に同じ部品が性能を制限するわけでもないため、必要以上に恐れるものではないでしょう。
今回はボトルネックの基本と、Ryzen 7 5700Xに組み合わせるGPUについて、初心者向けに紹介します。
PCにおけるボトルネックとは
ボトルネックとは、PCを構成する部品のうち、ほかの部品の性能を制限している部分のことです。
瓶の胴体が太くても、出口となる首が細ければ、中身を一度にすべて出すことはできません。この細くなっている部分になぞらえて、処理の流れを制限している部品をボトルネックと呼びます。
ゲーミングPCでは、主にCPUとGPUの関係について使われる言葉です。
Intelも、ボトルネックを「一つの部品が、より高性能な部品の能力を制限している状態」と説明しています。部品の古さだけでなく、それぞれの処理性能の違いによって発生します。
CPUボトルネックとは
ゲーム中のCPUは、キャラクターの動き、物理演算、NPCの処理、ゲーム進行などを担当し、GPUが描画するために必要な情報を用意します。
CPUの処理が追いつかないと、GPUは次の情報が届くまで待たなければなりません。高性能なGPUを搭載していても使用率が上がらず、フレームレートがCPUの処理能力によって制限されることがあります。
これがCPUボトルネックです。
CPUボトルネックは、次のような条件で表れやすくなります。
- フルHDなどの比較的低い解像度
- 低画質設定
- 144fpsや240fpsなどの高いフレームレート
- NPCや建築物などが多いゲーム
- シミュレーションやストラテジーゲーム
- 高性能なGPUと性能差のあるCPUを組み合わせた場合
画質を下げれば必ずフレームレートが大きく伸びるとは限りません。すでにCPUが限界へ達している場合、GPUの負荷を軽くしてもCPU側の処理能力は変わらないためです。
GPUボトルネックとは
反対に、GPUの処理が追いつかず、CPUがGPUの描画完了を待つ状態もあります。これがGPUボトルネックです。
次のような条件では、GPUの負荷が高くなります。
- WQHDや4Kなどの高い解像度
- 最高画質設定
- レイトレーシングの使用
- 高精細なテクスチャや影の描画
- GPU性能を要求する新しいゲーム
ゲーミングPCでは、GPUをしっかり使用している状態そのものが問題になるわけではありません。GPU性能を使い切って目標とするフレームレートを出せているなら、その構成で問題なく遊べます。
ボトルネックを完全になくすことは難しい
CPUとGPUの処理能力を完全に一致させ、あらゆるゲームでボトルネックを発生させない構成を作ることはできません。
同じPCでも、遊ぶゲームや場面によって負荷のかかり方が変わります。
例えば、広い街で大量のNPCを処理する場面ではCPU負荷が高くなります。一方、高解像度で複雑な映像を描画する場面ではGPU負荷が上がるでしょう。
解像度、画質設定、目標フレームレートによっても、先に限界へ達する部品は変わります。
そのため、重要なのはボトルネックを完全になくすことではなく、自分の用途に対して極端にバランスの悪い構成を避けることです。
ボトルネック計算サイトの数値は目安にする
CPUとGPUを選ぶと、ボトルネックをパーセントで表示するWebサイトもあります。
簡単に確認できるのは便利ですが、表示された数値だけでPCを選ぶのはおすすめできません。
実際の性能は、次の条件によって変化します。
- 遊ぶゲーム
- 解像度と画質設定
- 目標フレームレート
- メモリの容量や構成
- バックグラウンドで動作するアプリ
- ゲームやドライバーの更新状況
さまざまな条件で変わる結果を、一つのパーセントだけで正確に表すことはできません。
計算結果は参考程度にとどめ、購入予定と同じCPU・GPUを使用したゲーム動画やベンチマークも確認しましょう。
Ryzen 7 5700XとGPUの組み合わせ
Ryzen 7 5700Xは、8コア16スレッド、最大4.6GHzで動作するZen 3世代のCPUです。2022年に発売され、AM4とDDR4メモリを使用します。
現在販売されているBTOパソコンでは、RTX 5060やRTX 5060 Tiとの組み合わせをよく見かけます。
組み合わせを考える際の大まかな目安は次のとおりです。
| GPU | Ryzen 7 5700Xとの考え方 |
|---|---|
| RTX 5060 | 価格を抑えたフルHD向けとして組み合わせやすい |
| RTX 5060 Ti | フルHDからWQHDまで考えやすい構成 |
| RTX 5070 | WQHD・高画質を中心に遊ぶなら選択肢に入る |
| RTX 5070 Ti以上 | 使用できるが、新規購入ではCPUやプラットフォームも再検討したい |
この表は「ここから必ずボトルネックになる」という境界線ではありません。
同じRyzen 7 5700XとRTX 5070でも、フルHD・低画質で高いフレームレートを求める場合はCPUの限界が表れやすくなります。WQHD・高画質で遊ぶ場合はGPU負荷が増えるため、RTX 5070を活用しやすくなるでしょう。
RTX 5060 Ti 16GBを選び始めると迷いが増える
Ryzen 7 5700XとRTX 5060 Ti 16GBの組み合わせは、実際に使用できる構成です。予算内に収まり、遊びたいゲームの性能を満たしているなら、選んではいけない理由もありません。
ただ、RTX 5060 Tiの16GBモデルまで予算を出すなら、別の考えも出てきます。
「あと少し足して、CPUを新しい世代にしたほうがよいのでは?」
CPUを変えてAM5搭載モデルを見始めると、今度は次の疑問が出てきます。
「せっかくCPUを良くするなら、GPUもRTX 5070へ上げたほうがよいのでは?」
さらにGPUを上げると、電源容量や冷却性能、SSD容量なども気になってきます。
こうなっちゃうんですよね。PC選びは、上を見始めるときりがありません。
数万円ずつ追加していけば、性能も将来性も高くなります。しかし、最初に考えていた予算から大きく離れてしまえば、どこかで止める必要があります。
最初に「やりたいこと」を決める
PCを選ぶときは、CPUとGPUの上下関係を考える前に、何をしたいのかを明確にしましょう。
最低限、次の内容を決めておくと選びやすくなります。
- 遊びたいゲーム
- フルHD、WQHD、4Kのどれで遊ぶか
- 60fpsでよいのか、144fps以上を求めるのか
- 画質をどこまで重視するか
- MODを使用する予定があるか
- ゲーム以外に配信や動画編集をするか
- PCに使える予算
- 将来CPUやGPUを交換したいか
すべてを最高にしようとすれば、必要な予算も増えていきます。
反対に、フルHDで60fps以上出ればよい、画質設定を少し下げても構わないと決められるなら、必要以上に高い構成を買う必要はありません。
ボトルネックより用途と予算のバランスが重要
Ryzen 7 5700XとRTX 5060 Tiを組み合わせても、必ずゲームが重くなるわけではありません。RTX 5070を搭載したからといって、GPUの性能がすべて無駄になるとも限らないでしょう。
ボトルネックの発生場所は、ゲーム、解像度、画質設定、目標フレームレートによって変わります。
大切なのは「ボトルネックが何%あるか」ではなく、購入するPCが自分のやりたいことを満たしているかです。
最初に用途を決め、使える資金と妥協できるラインを整理する。そのうえで、同じCPU・GPU構成のゲーム動画を確認してください。
上を見れば、もう少し良いCPUもGPUも見つかります。
そこで際限なく予算を増やすのではなく、自分に必要な性能を見極めることが、ゲーミングPC選びでは重要です。


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