※価格や販売状況は2026年8月26日時点で確認した情報をもとにしています。
最近、Ryzen 7 5700Xに関する記事が読まれる機会が増えています。GPUやメモリの価格が上がり、PC全体の予算が厳しくなっている今、少しでも価格を抑えられる構成を探している人が増えているのかもしれません。実際、BTOパソコンでもRyzen 7 5700Xを使った低価格モデルは今でも見かけます。
5700X自体は8コア16スレッドのCPUで、ゲームや普段使いに使えないような性能ではありません。価格を抑えてPCを導入したい場合、魅力的に見えるのも分かります。ただ、2026年に新品PCとして5700Xを選ぶべきかとなると、少し慎重に考えた方がいいと思っています。問題は5700Xの性能だけではなく、CPUと一緒に購入することになるAM4というプラットフォームそのものまで含めて考える必要があるからです。
Ryzen 7 5700Xは今でも使えるCPU
まず、5700Xそのものを否定するつもりはありません。CPUメーカーAMDの公式仕様では、Ryzen 7 5700XはZen 3世代の8コア16スレッド、最大4.6GHz、TDP 65WのCPUです。2022年発売なので新しいCPUではありませんが、ゲームや普段使いを含め、現在でも十分使える性能を持っています。
PCパーツの価格推移を確認できる価格比較サイト「価格.com」では、2026年8月25日時点のRyzen 7 5700Xの最安価格は31,980円、Ryzen 7 9700Xは39,980円となっています。CPU単体だけを見ると、価格差は約8,000円です。
すでにAM4環境を使っている人や、Ryzen 3000シリーズなどからCPUだけ交換したい人なら、5700Xを選ぶ意味は今でもあります。マザーボードやDDR4メモリをそのまま使えるからです。問題は、マザーボードもメモリも持っていない状態から新品PCを買う場合です。
5700Xと9700Xは同じ65Wでも世代がかなり違う
5700Xを同じく選びやすいCPUとして見ている9700Xと比べてみます。
| 項目 | Ryzen 7 5700X | Ryzen 7 9700X |
|---|---|---|
| 発売 | 2022年 | 2024年 |
| アーキテクチャ | Zen 3 | Zen 5 |
| コア / スレッド | 8 / 16 | 8 / 16 |
| 最大ブースト | 4.6GHz | 5.5GHz |
| TDP | 65W | 65W |
| ソケット | AM4 | AM5 |
| 対応メモリ | DDR4 | DDR5 |
| PCIe | PCIe 4.0 | PCIe 5.0 |
| 内蔵GPU | なし | Radeon Graphicsあり |
どちらも8コア16スレッドで、公称TDPは65Wです。そのためスペック表を軽く見ただけでは、5700Xもまだ十分だと思うかもしれません。しかし、新品PCとして見る場合に大きいのは、AM4とAM5という土台の違いです。
5700XはDDR4メモリを使用するAM4環境、9700XはDDR5メモリを使用するAM5環境です。さらに9700XはPCIe 5.0へ対応し、簡易的ではありますが内蔵GPUも持っています。CPUそのものの性能だけでなく、その後に使うマザーボードやメモリまで世代が変わっています。
AM4の安さには、今でも意味がある
ここで「それなら全員9700Xを買えばいい」とは思いません。今のPC市場では、GPUやメモリ価格の上昇によって予算そのものが厳しくなっています。AM5環境ではDDR5メモリが必要になり、マザーボードも含めてPC全体の価格が高くなることがあります。
一方のAM4ではDDR4を使えるため、BTOメーカーが価格を抑えた構成を作りやすいという利点があります。限られた予算の中で、「CPUを新しい世代にするとGPUのグレードをかなり下げなければならない」という状況なら、5700X搭載PCを選んでGPU側へ予算を回す考え方もあります。特にゲームでは、CPUを一段上げるよりGPUを上げた方が体感性能につながる場合もあるため、5700Xを選ぶこと自体を「間違い」とは言いたくありません。
ただし、その安さは単純なお買い得ではなく、将来の拡張性をある程度割り切る代わりに、今の購入価格を下げる選択だと理解しておいた方がいいです。
新品PCならAM5の拡張性はかなり大きい
新品PCで9700X側を勧めたい大きな理由が、AM5の今後です。AMDは2026年5月、AM5プラットフォームのサポートを2029年まで延長すると公式に発表しています。つまり、2026年にAM5マザーボードを購入しても、今後登場するCPUへ交換できる余地が残っています。もちろん、すべての将来CPUがすべての既存マザーボードで必ず使えると保証されているわけではなく、BIOS対応などは確認が必要です。それでも、新品でPCを購入したあとに「数年後にCPUだけ交換する」という選択肢を残せるのは大きいです。
一方のAM4は、すでに10年近く使われてきた非常に長寿命なプラットフォームです。AMD自身もAM4を長期間支えてきましたが、5700Xを新品PCとして買う場合は、すでに成熟した世代の終盤からスタートすることになります。ここが既存AM4ユーザーとの大きな違いです。すでにAM4マザーとDDR4を持っているなら、それらを再利用する価値がありますが、新品PCではその再利用メリットが最初からありません。
2026年に新品で買うなら、5700Xを選ばない
Ryzen 7 5700Xは、今でも普通に使えるCPUです。8コア16スレッドでTDP 65W、価格も3万円台前半まで下がっています。既存のAM4環境を延命するCPUとして考えれば、今でも十分価値があります。ただし、2026年にマザーボードもメモリも含めて新品PCを一式購入するなら、私は5700Xを積極的には選びません。
理由はCPU性能だけではありません。AM5へ移ればDDR5、PCIe 5.0、新しいCPUへの交換余地が手に入ります。9700Xも公称TDPは65Wであり、5700Xと同じく65WクラスのCPUとして選択できます。
もちろん予算は無視できません。AM5へ変更したことでPC価格が数万円上がり、その結果として必要なGPUまで下げなければならないなら、5700X搭載機を選ぶ判断も理解できます。無理をして予算を超える必要はありません。ただ、5700X搭載PCが安く見えたときには、「安いから得なのか」ではなく、「AM4という世代を新品で買う代わりに、どれだけ安くなっているのか」まで見てほしいと思います。
価格差が小さいのであれば、今から新品PCを買うならAM5を選びたいところです。5700Xはまだ使えるCPUですが、これから新品PCを買う人にとって最初に選ぶCPUかと言われれば、私はそれは違うと考えています。
この記事で参考にした情報
- AMD「Ryzen 7 5700X 公式仕様」
https://www.amd.com/en/support/downloads/drivers.html/processors/ryzen/ryzen-5000-series/amd-ryzen-7-5700x.html - AMD「Ryzen 7 9700X 公式仕様」
https://www.amd.com/ja/products/processors/desktops/ryzen/9000-series/amd-ryzen-7-9700x.html - AMD「Computex 2026: AM5 Support Through 2029」
https://www.amd.com/en/blogs/2026/amd-computex-2026-10-years-of-am4-am5-support-through.html - AMD「Socket AM4 Chipset」
https://www.amd.com/ja/products/processors/chipsets/am4.html - 価格.com「Ryzen 7 5700X BOX 価格推移」
https://kakaku.com/item/K0001429753/pricehistory/ - 価格.com「Ryzen 7 9700X BOX 価格推移」
https://kakaku.com/item/K0001630332/pricehistory/


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